スピンオフストーリーブック「嫌われトマトと無機質なあなた」

ポイントを活用した資産形成を実践する投資家の皆様へ。2025年11月12日は、単なる株式市場の変動日ではなく、我々が追う「ポイント経済圏」の戦略が大きく動いた一日となりました。
最大のトピックは、楽天グループが発表した累計発行5兆ポイント突破のニュースです。注目すべきはその背景で、楽天が公式に「ポイント投資」をエコシステム成長の柱として挙げたこと。これは、ポイントを「貯める」から「増やす」への流れが、もはやニッチな活動ではなく「主流」になったことを示す象徴的な出来事です。
同時に、NTTドコモはdポイント会員1億人超のデータを活用した「AI戦略」を発表 。対するKDDIはPonta経済圏の未来として「Web3戦略」を打ち出しました 。各社が「規模」「AI」「Web3」という異なる未来像を提示した昨日、ポイント投資家が把握すべき市場概況と、各経済圏の最新動向を詳細に分析します。
ポイント投資家のための市場概況
東京市場(11月12日):TOPIX最高値更新も、日経平均はSBGが重し
昨日の東京株式市場は、全体としては強いものの、主要指数間で「まだら模様」となりました。
終値は、日経平均株価が前日比220円38銭高の5万1063円31銭と反発 。一方、東証株価指数(TOPIX)は37.75ポイント高の3359.33と、日経平均を大幅に上回る上昇率で、最高値を更新しました 。
この指数の格差は、ポイント投資家にとって重要な示唆を含んでいます。TOPIXが最高値を更新したことは、プライム市場の約8割が上昇するなど 、日本市場全体が非常に好調であったことを示しています。
しかし、日経平均は特定の銘柄の値動きに強く影響されます。昨日、その重しとなったのがソフトバンクグループ(SBG)です。決算発表後、SBG株は一時10%超急落し、終値でも3.45%安となりました 。この1銘柄だけで日経平均を157円も押し下げたのです 。
日経平均連動型のポイント投資信託を保有している場合、SBG1社の影響で、市場全体の真の強さ(TOPIXの最高値更新)から取り残された形になります。これは、価格加重平均(日経平均)と時価総額加重平均(TOPIX)のリスク特性が顕著に表れた一日であり、ポイント投資における分散の重要性を再認識させるものでした。
米国市場(11月12日取引):ダウ続伸、ナスダック反落の「分割」相場
日本時間の今朝方(11月13日朝)に取引を終えた米国市場もまた、指数間で方向性が分かれる「分割」相場となりました。
ダウ工業株30種平均は続伸し、前日比326.86ドル高の4万8254.82ドルで取引を終えました 。政府機関閉鎖解除への期待感などから、主力株が買われた形です 。
一方で、ハイテク株中心のナスダック総合指数は反落し、109.42ポイント安の2万3358.88ポイントとなりました 。前日(11日)から見られたハイテク株(例えばエヌビディアなど)への売り圧力が継続した形です 。
この動きは「セクター・ローテーション」を示唆しています。S&P500やナスダック100など、ハイテク株比率の高い指数に連動するポイント投資を行っている場合、ダウ平均のニュースが報じる「米国株高」とは裏腹に、保有ポイントの価値は伸び悩んだ可能性があります。ポイント投資においても、米国の「オールド・エコノミー(ダウ)」と「ハイテク(ナスダック)」のどちらに軸足を置いているか、その構成内容を改めて確認すべき局面と言えます。
2025年11月12日:主要ポイント別・最新動向分析
昨日は、各ポイント経済圏が将来の生き残りをかけた重要な戦略を発表しました。
楽天ポイント (Rakuten Point)
戦略:「5兆ポイント」突破が証明した「ポイント投資」の主流化
昨日、楽天グループは「楽天ポイント」の累計発行数が、2025年10月13日をもって5兆ポイントを突破したと発表しました 。
この数字の巨大さもさることながら、ポイント投資家として注目すべきは、楽天が公式に発表した「成長要因」の中身です 。
楽天は、ポイントを「もらう」「増やす」「使う」体験が進化し続けていることが背景にあると説明しました 。そして、その「増やす」体験の具体的なサービスとして、「楽天ポイント運用」や「楽天ポイントビットコイン」を明確に挙げています 。
これは、このブログのテーマでもある「ポイント投資」が、もはや一部のアーリーアダプターのものではなく、楽天エコシステムの成長を牽引する「本流」の機能として公式に認められたことを意味します。我々の活動は、楽天の経営戦略そのものと直結したと言えるでしょう。
また、この5兆ポイント達成の背景には「楽天モバイル」契約数の増加が強く寄与していると分析されています 。モバイル契約者はSPU(スーパーポイントアッププログラム)で毎日5倍になるなど 、ポイント獲得機会が格段に優遇されています。
つまり、楽天は「ポイントの高還元」をテコにモバイル契約者を増やし、その契約者が「ポイント投資」でエコシステムに深く定着する、という強力なフライホイール(好循環)を回していることが、昨日の発表で明確になりました。
ポイ活情報:「ブラックフライデー」の詳細発表、投資原資の確保へ
「投資」の原資となる「獲得」の面でも、11月12日に大きな発表がありました。
楽天は、11月20日から27日にかけて開催する「楽天市場のブラックフライデー」の詳細を発表しました 。
内容は、ショップ買いまわりでポイント最大47倍となるキャンペーン や、日用品のDEALによる最大50%ポイント還元 、さらに韓国コスメなどを対象とした最大30%オフの新企画「神トク コスメ」 など、大規模なものとなります。
楽天モバイル契約者は、楽天ブックスでの買い物がさらに+1倍になるなど 、ここでもモバイル戦略との連動が鮮明です。
11月12日の発表は、この大規模キャンペーンの「予告」です。ポイント投資家としては、この「稼ぐ」フェーズ(ブラックフライデー)で獲得したポイントを、楽天が「本流」と認めた「増やす」フェーズ(ポイント投資)にいかに効率よく回していくか、今から戦略を練るべきでしょう。
dポイント (d Point)
戦略:dポイント会員1億人超のデータが「AI」の燃料となる未来
楽天が「規模」をアピールした同日、NTTドコモは「知能」で対抗する戦略を打ち出しました。
NTTとドコモは11月12日、1億を超えるdポイントクラブ会員基盤 から得られるデータを活用した、新しいAI技術「大規模行動モデル(LAM : Large Action Model)」を確立したと発表しました 。
これは、オンラインや店舗などでの「4W1H(誰が/いつ/どこで/何を/どうした)」という膨大な行動データをAIに学習させ、顧客が次に「どうしたい」かを高精度で予測する技術です 。このAIはすでにテレマーケティング施策において、従来の受注率を最大2倍に向上させる成果を出しています 。
この発表がポイント投資家にとって持つ意味は重大です。我々がdポイントを貯めるために提示する行動履歴(購買、位置情報など)は、ドコモにとって「AIを駆動させる燃料」そのものです 。
ドコモは、このAIを活用した「1to1マーケティング(一人ひとりに最適化された販促)」によって、我々ユーザーをdポイント経済圏により深くロックインさせようとしています。これは、dポイント経済圏全体の競争力と安定性を高める動きであり、dポイントを活用した投資サービス(THEO+ docomoなど)の長期的価値にも繋がる重要な戦略です。
ポイ活情報:【要対応】ビックカメラ池袋5%還元、12日よりエントリー開始
dポイント経済圏の「知能」戦略とは別に、即時対応すべき「獲得」情報も発表されました。
NTTドコモは11月12日、ビックカメラ池袋地区の対象4店舗(池袋本店、池袋西口店など)において「d払い5%還元キャンペーン」を実施すると発表しました 。
キャンペーン期間は11月14日から11月30日までですが、重要なのは「エントリー受付が11月12日から開始」されている点です 。
合計5,000円(税込)以上のd払い利用で、上限2,000ポイントまで5%が還元されます 。この記事を読んでいる本日(11月13日)中に、d払いアプリ等から必ずエントリーを済ませ、明日のキャンペーン開始に備えてください。
Pontaポイント (Ponta Point)
戦略:【重大】KDDIの「Web3」戦略。Ponta経済圏の向かう先
楽天が「規模」、ドコモが「AI」を発表した11月12日、Pontaポイントを運営するKDDIは、まったく異なる「第3の未来」を提示しました。
KDDIは同日、Web3ウォレットを開発するHashPortとの資本業務提携を発表しました 。KDDIはHashPortの株式20%超を取得し、持分法適用会社とします 。
HashPortは、大阪・関西万博のデジタルウォレットを開発した企業です 。KDDIは、自社の顧客基盤(au PAYやPonta)および金融サービスと、HashPortの技術を融合させ、「Web3の社会実装を推進する」と明言しています 。
これは、ポイント経済圏の未来を占う上で、ドコモのAI戦略(Web 2.0的・中央集権的なデータ最適化)と真っ向から対立する「Web 3.0的・分散型」の戦略です。
KDDIは、Pontaやau PAYの経済圏を、将来的にはNFTや各種デジタルトークンとシームレスに連携する「Web3ウォレット」経済圏へと進化させる道を選んだ可能性があります。我々が貯めているPontaポイントが、将来的にどのようなデジタル資産と交換可能になるのか、長期的な視点で注目すべき最も重要な戦略転換の一つです。
ポイ活情報:ローソンキャンペーン等、既存施策が継続中
Web3という未来戦略とは対照的に、足元の「獲得」施策は既存のものが継続中です。
ローソンでのPontaカード提示で最大3,000ポイントが当たるキャンペーン や、毎月5のつく日と8日の「たぬきの吉日」におけるau PAY抽選会 などが引き続き実施されています。未来のWeb3戦略を横目に、まずはこれらの施策で着実にPontaポイントを蓄積することが基本戦略となります。
WAON POINT
戦略:「WAONポイント」を「WAON POINT」へ統合。資産価値の明確化
11月12日、イオンは長年の懸案であったポイント制度の簡素化を発表しました 。
現在併存している電子マネーの「WAONポイント(ひらがな)」を、2026年3月から「WAON POINT(カタカナ)」に統合するものです 。
これは、消費者にとっての分かりにくさを解消する、重要な競争力強化策です。楽天やdポイントといったシンプルな競合に対抗するため、WAON POINTという「資産」の価値を一本化し、分かりやすくする狙いがあります。
資産が簡素化・統一されることは、その資産価値の向上に直結します。ご質問にあった「イオンペイを通じたVポイントとの等価交換」といった、将来的な他ポイントとの連携や交換(投資)においても、ポイントが統一されていることのメリットは計り知れません。
なお、11月12日時点では、イオンペイアプリやVポイント交換に関する新たなキャンペーン情報の発表は確認されませんでした。
Vポイント (V Point)
動向:ライバル企業の大型戦略発表の中、沈黙
楽天(規模)、ドコモ(AI)、KDDI(Web3)、イオン(統合)と、主要なライバル企業が11月12日に一斉に大きな戦略を発表した中、Tポイントと統合した新生Vポイント陣営からは、目立った新情報の発信はありませんでした。
「沈黙もまたデータである」とすれば、Vポイント陣営は現在、旧Tポイントと旧Vポイントのシステム・顧客統合という「内向き」のフェーズにあると推察されます。しかし、競合他社は「外向き」の次世代戦略(AI / Web3)へ一気に舵を切りました。Vポイントがこの新たな競争の舞台に、いつ、どのような戦略を持って応戦してくるのか、投資家として注視していく必要があります。
PayPayポイント (PayPay Point)
動向:PayPayポイント自体に新情報なし。ただし親会社に「市場リスク」顕在化
PayPayポイントに関しても、11月12日に新たなキャンペーンや投資機能の発表はありませんでした。
しかし、PayPayポイントの投資家が認識すべき最も大きなニュースは、市場概況のセクションで触れた、親会社ソフトバンクグループ(SBG)の株価の不安定さです 。
ドコモ(NTT)やPonta(KDDI)といった安定した通信インフラ企業が、AIやWeb3といった長期的な技術投資を発表したのに対し 、PayPay経済圏は、SBGという極めて市場変動性の高い(ボラティリティの高い)投資会社の戦略下にあります。昨日のSBG株の乱高下 は、PayPayポイント経済圏の安定性に対する「親会社リスク」を改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。
本日のまとめと投資家への視点
2025年11月12日は、ポイント経済圏が「次の10年」の戦いへ移行した日として記憶されるでしょう。
- 楽天の「現在」の勝利宣言: 5兆ポイント突破と、その要因としての「ポイント投資」の公式な認定 。これは、我々ポイント投資家の活動が主流となったことの証明です。
- ドコモの「AIの未来」: dポイントを「燃料」としてAIを駆動させ、顧客を最適化・ロックインする「知能」の戦略 。
3. KDDIの「Web3の未来」: Ponta経済圏をWeb3ウォレットと接続し、ポイントを「トークン化」する「分散」の戦略 。
我々が日々「ポイ活」として貯めているポイントは、もはや単なる割引券ではありません。それは、これら巨大企業が繰り広げる「規模」「AI」「Web3」という、3つの異なる未来像への覇権争いの最前線にある「資産」そのものです。
ポイント投資家としての我々の役割は、これらの深層にある戦略を理解し、どの経済圏の未来像に自らの資産(ポイント)を投じるかを賢明に選択し、日々の「消費」を「投資」へと変え続けることにあります。
引用文献
1. 1to1 マーケティングを加速するAI 技術「大規模行動モデル(LAM)」を確立, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000644.000118641.html 2. ドコモデータ活用で潜在顧客のモーメントを可視化高度なコミュニケーション最適化を可能にする「docomo data squareジャーニー分析」の提供を開始, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000012049.html 3. HashPortと大阪・関西万博で利用されたウォレットを活用へ(KDDI), https://paymentnavi.com/paymentnews/167560.html 4. 【市況】 <マ-ケット日報> 2025年11月12日, https://kabutan.jp/news/marketnews/?&b=n202511120947 5. 東証終値、220円高, https://www.47news.jp/13443839.html 6. 東証反発、終値5万1063円 米国株高追い風に好決算企業買い, https://www.47news.jp/13443863.html 7. マ-ケット日報> 2025年11月12日(株探ニュース), https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/3a184f632665108cb914e3660f4e24e6b35921c2 8. ソフトバンクG一時大幅安も日経平均株価は小幅高 短期変動に振り回されないことが重要 野村證券・小髙貴久, https://www.nomura.co.jp/wealthstyle/article/0497/ 9. NY株式 12日終値 | OANDA FX/CFD Lab-education(オアンダ ラボ), https://www.oanda.jp/lab-education/market_news/kn_2025111302000024/ 10. 【市況】 NY各市場 5時台 ダウ平均は341ドル高 シカゴ日経平均先物は5万1240円, https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202511130080 11. 「楽天ポイント」、累計発行5兆ポイントを突破, https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/2062698.html 12. 「楽天ポイント」、累計発行ポイント数が5兆ポイントを突破 | 楽天 …, https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2025/1112_02.html 13. 「楽天ポイント」発行数、累計5兆ポイント突破 開始から23年で – ITmedia NEWS, https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2511/12/news090.html 14. 楽天ポイントが「累計5兆」に到達 23年で築いた“巨大経済圏” – アスキー, https://ascii.jp/elem/000/004/351/4351261/ 15. 楽天、今年もブラックフライデー開催 楽天市場では最大47倍の …, https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2511/12/news105.html 16. 楽天市場のブラックフライデー、11月20日から。買い回りで最大47倍ポイント還元、日用品/ブランド家電/コスメもお得に, https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/2062589.html 17. 【楽天】ブラックフライデー2025開催!ポイント最大47倍などお得なキャンペーンやセールを実施, https://tokubai.co.jp/news/articles/9170 18. 楽天、「楽天市場」「楽天ブックス」「楽天リーベイツ(Rebates)」においてブラックフライデーのキャンペーンを開催 (2025年11月12日) – エキサイト, https://www.excite.co.jp/news/article/Prtimes_2025-11-12-5889-2528/ 19. 池袋のビックカメラ4店舗で「d払い5%還元キャンペーン」、最大 …, https://news.mynavi.jp/article/20251112-3657384/ 20. ローソンでのお買い物でPontaカードを提示するともれなく最大3,000Pontaポイントが当たるキャンペーンを実施 – au, https://www.au.com/information/topic/auwallet/2025-040/ 21. 「au PAY」11月はショップジャパン・鳥貴族・ドトールなどでポイント還元, https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/2059485.html 22. イオン、電子マネーの「WAONポイント」を「WAON POINT」に統合 26年3月から – ITmedia NEWS, https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2511/12/news074.html
